「読むと精神に異常をきたす」というキャッチコピーの小説。
それが夢野久作の『ドグラ・マグラ』です。
知る人ぞ知る、狂気の小説。
私もようやく読み終えました。
この記事では、小説『ドグラ・マグラ』のあらすじを解説します。
※【閲覧注意】トリックも結末も暴露した、完全なネタバレ記事です。
★小説『ドグラ・マグラ』の概要
『ドグラ・マグラ』は、夢野久作(ゆめのきゅうさく)が1935年に発表した小説です。
構想・執筆に10年以上かけて『ドグラ・マグラ』を完成させた翌年、著者は脳溢血により死亡しました。
まさに、夢野久作、畢生(ひっせい)の作品といえるでしょう。
※「畢生」とは、「人生をかけた」「命をかけた」ぐらいの意味です。
ちなみに「ドグラ・マグラ」という言葉の意味は、本文中で解説されます。簡単に説明すると、これは九州地方の古い方言のようなもので、意味は「幻魔術」「手品」「トリック」といったニュアンスらしいです。
※『ドグラ・マグラ』は青空文庫で無料で読めます。
⇒青空文庫『ドグラ・マグラ』のページ
★『ドグラ・マグラ』簡単なあらすじ
あなたにまず理解しておいてほしいことがあります。『ドグラ・マグラ』にはいろいろな解釈の仕方があるので、「これが正しい結末だ!」と断言することができません。なので、この記事に書くのは、あくまで当ブログ「ほほう知恵袋」管理人である、私の解釈ということになります。
では、簡単にあらすじを説明すると…
『ドグラ・マグラ』の簡単なあらすじ
「”ブーン”という時計の音で、主人公は目覚める。そこは精神病棟の隔離部屋で、主人公は記憶喪失状態だった。まもなく現れた博士が言うには、主人公は”精神異常を利用した犯罪”に巻き込まれたのだという。博士に見せられた資料を読むうちに、徐々に記憶を取り戻していく主人公。そこには衝撃の結末が待っていた…」
こんな感じです。
主人公は、おそらく呉一郎(くれいちろう)という青年です。
なぜ「おそらく」という表現をするかというと、読者によっては、主人公は呉一郎ではなく、呉一郎とその婚約者モヨ子のあいだにできた胎児であるという説もあるからです。
私は、おそらく呉一郎が主人公だと思います。
★『ドグラ・マグラ』のネタバレ
ではネタバレです。
『ドグラ・マグラ』は、いわゆる「ループ系の小説」に分類できるでしょう。
どういうことかというと、最後のページを読んだら、それが最初のページにつながっていて、無限ループ構造になっているのです。
もうひとつ、この小説をおもしろくしているものすごいカラクリがあります。
どんなカラクリかというと、作中に『ドグラ・マグラ』という同じ名前の小説が登場するのです。しかも、物語の中に出てくる『ドグラ・マグラ』と、私たち読者が実際に読んでいる『ドグラ・マグラ』が、同じ作者によって書かれた、同じ内容の小説だという設定になっています。
ただ、作中の『ドグラ・マグラ』と実際の『ドグラ・マグラ』の内容が同一であると断言はできません。当たり前ですよね。なぜなら、実際の『ドグラ・マグラ』を書いたのは夢野久作で、作中の『ドグラ・マグラ』を書いたのは、おそらく呉一郎だからです。
ですが、作中の『ドグラ・マグラ』と実際の『ドグラ・マグラ』がまったく同一内容だと思って読むほうがおもしろいので、私は同一のものだと思っています。
記憶喪失状態で目覚めた呉一郎は、記憶を取り戻すために、たくさんの資料を読んでいきます。その途中で彼は、小説『ドグラ・マグラ』も手にするのです。その場面で、博士から以下のような説明が入ります。
- その”ドグラ・マグラ”という小説は、ある精神病患者の青年(おそらく呉一郎)が書いたものである
- その小説の始まりと終わりで、主人公が耳にする「ブーン」という時計の音は、まったく同じ日時の同じ音でありうる(ループ系小説だという暗示)
この2点だけでも、『ドグラ・マグラ』がどんな小説なのかが、ぼんやりと見えくるのです。
★とにかく読んでみることをオススメします
以上、簡単ではありますが、夢野久作『ドグラ・マグラ』のあらすじネタバレ解説でした。
非常に複雑なストーリー構成となっていますが、文章はそこまで難しくないので、興味のあるかたはぜひ読んでみてください。けっして「精神に異常をきたす」心配はありませんよ…
※『ドグラ・マグラ』解釈のヒントはこちらです。
⇒夢野久作『ドグラ・マグラ』を考察!解釈のヒントは?
大変興味をそそられました。明日、本屋で購入して読みたいと思います。
現在進行形にて。まだまだ中盤戦ですが先行き長いです。