「お酒に強くないと出世できない」
こんな言葉があるほど、日本の社会において、お酒が飲めることは重要です。
たまに耳にする「お酒に強くなる方法」は本当に存在するのでしょうか?
この記事では、お酒に強くなる方法の真相を解明します。
★アルコール分解のメカニズム
まず、お酒に強くなる方法の前に
アルコール分解のメカニズムを簡単に理解しておきましょう。
この図を見てください。
↓(画像はクリックで拡大)
体内に入ったアルコールは
アルコール脱水素酵素(以下ADH)によって分解され
アセトアルデヒドになります。
さらにアセトアルデヒドが
アセトアルデヒド脱水素酵素2型(以下ALDH2)と
ミクロソームエタノール酸化酵素(以下MEOS)によって分解されます。
その結果、無害な酢酸に変わり
最終的に水と炭酸ガスとなって体外へ排出されるのです。
アセトアルデヒドは毒性の強い物質で
これが頭痛、吐き気、二日酔いなどの原因になっているんですね。
ALDH2の働き具合は、遺伝によって決まります。
お酒に強い人は
ALDH2の活性が強いので
アセトアルデヒドを分解するのが速い。
逆に、お酒に弱い人は
ALDH2をほとんどもっていないか
もっていても活性が弱いんですね。
だから、アセトアルデヒドを分解するのに時間がかかり
すぐに気持ち悪くなったり、二日酔いになったりするのです。
そして、ALDH2は
訓練で強くすることはできません。
ちなみに、日本人の約半数は
ALDH2の活性が弱いため
お酒に弱い人種といわれています。
★お酒に強くなる方法は?
「お酒を大量に飲み続けていたらお酒に強くなった」
という話を聞いたことがありますか?
これは事実として、ありえます。
アセトアルデヒドを分解するMEOSは
訓練で増やすことができるのです。
訓練といっても、大量のお酒を継続的に飲み続けるだけです。
これにより、MEOSの活性が強くなるので、お酒に強くなれます。
ですが、MEOSは数週間お酒をやめると
元の弱い状態に戻ってしまいます。
それに、MEOSを使いすぎると肝臓にも悪いんです。
★お酒に強くなり、出世した男
学生時代はまったくお酒が飲めなかった友人A。
それこそ、350mlの缶ビール1本で
フラフラになってしまうような弱さでした。
ところが、体育会系の会社に入社後
毎日浴びるように飲み、彼はお酒に強くなり、出世しました。
これは分解酵素MEOSが鍛えられた典型例ですね。
とはいえ、私は彼の肝臓が心配です。
あなたも、お酒はほどほどに楽しみましょうね!